CCPによる一括変換で発生する特殊なOIS取引

一部で見落とされているようだが、CCPのConversionによってできるOIS取引は厳密には標準OISとは異なっている。以前も紹介したLCHのアナウンスメントには「LCH wish to confirm that we also intend to retain the roll dates & accrual periods of the original LIBOR contract.」と書かれている。

つまり、JPY LIBOR Swapの場合LIBORレグはTONAに変わり、計算期間終了日から2日後に金利支払いが行われる。これを便宜的にT0と表す。LIBORスワップのConventionは固定レグも変動レグもT0である。これをT0/T0と表すと、標準OISは後決めであるためT2/T2となる。

では12月の一括変換によって生じるOISはどうなるかというと、変動金利サイドはT2になるが固定金利サイドはもともとLIBORスワップのConventionを維持するので、固定がT0、変動がT0になる。これをT0/T2と表す。つまり以下のように金利支払日が異なってくる。

  • LIBOR Swap:T0/T0
  • 標準OIS:T2/T2
  • 一括変換によって発生するOIS:T0/T2

また、当然ながらLIBORスワップの金利支払いが半年毎のSA(Semi Annual)だったとしたら、一括変換後のOISも固定金利がSAとなり、変動金利の方はOISの標準Conventionである年一回のPA(Per-Annual)になるものと思われる。つまり、一括変換後のOISは固定金利がSA、変動金利がPA、T0/T2となる。一方新規で標準OISを取引するとPA、PA、T2/T2となる。

  • LIBOR Swap:SA/SA
  • 標準OIS:PA/PA
  • 一括変換によって発生するOIS:SA/PA

このように二つの異なるOIS取引が存在することになるので、通常のコンプレッションでは消せない。ひょっとしたらシステム対応が難しい参加者もいるかもしれない。

これを避けるためには、CCPの一括変換を待つのではなく、何らかの方法で事前に標準OISに変えたいという市場参加者が出てきてもおかしくない。様々な検討を進めているが、意外と詰めなければならない点が数多く出てきている。変換日である12月にはLIBORの流動性が下がって時価評価も困難になっているかもしれないし、オペレーション面で思わぬ混乱が発生する危険性もある。やはり極力事前移行を進めておいた方が良いのだろう。