Volume Discountは悪か

先月SECから出されたVolume based Exchange Transaction Pricingに関するガイダンスが話題になっている。証券会社を通じたオーダーに関して取引量に応じた手数料体系を禁じるというものだ。理由としては、エージェンシーとなるブローカーの公平な競争を促すためとのことだ。つまり、Volume baseにすると、巨額の取引を扱う大手銀行が有利になっており、中小ブローカーが支払う手数料が割高になっているという主張だ。また、月間の取引量などによって事後に価格が決まることもあるため、取引執行時にFeeが確定しないという点も問題視されている。

そもそもこうしたVolume Discountはかなり広範囲に使われており、OTCのCCPの料金体系でも幅広く使われている。金利スワップなどのブローカーに支払う手数料にも一部使われており、業界では幅広く受け入れられてきた慣行である。これは何も金融に限らず、まとめ買いをすればそれにかかるコストも少なくなるので、一般的な小売でも頻繁にみられる慣行だ。こうした慣行を認めるガイダンスも過去に出されていることもあり、一貫性にかけるメッセージが出されている点について業界からの批判が大きくなっている。

SEF導入の時もそうだったが、SECトップのGensler氏は中小金融機関やブローカーも含めて、アクセスを大きく広げ、競争を促すことを重要視しているように見える。今回のガイダンスの是非については色々と議論があるだようだが、日本では、ある程度の資本を持ったところがサービス提供をした方が安全という雰囲気があり、あまりこうした話は聞かれない。特にCCPへの参加者に関しては、より安定を志向し、一定の規模の資本とリスク許容度を持った参加者がその仕組みを支える制度となっている。

確かにあまりに行きすぎたVolume Discountを与えるのは良くないのだろうが、実際に大きな取引を一括して行う方がコストは低くなるので、それに応じて手数料を変えるというのは、極めて自然な考え方だろう。今後の議論の行方が注目される。