SIMMの更新サイクルが年2回になる

先週ISDAから当初証拠金モデルのSIMMのパラメーター更新が現状の年一回から年二回に変更されるというアナウンスがあった。2025年からの変更になるが、年の前半の変更は上期中に決められ8月から実施、年後半の変更は下半期中に決定され、2月から実施となる。

2020年3月の米国金利、2022年の10月の英国金利の他、コモディティ価格の乱高下などが発生したが、その後かなりの時間が経ってからSIMMの変更が行われることに対し批判の声が大きかった。これを受けて今年はSIMM 2.5Aと称してオフサイクルのCaliburationが行われた。これは5月5日に公開され、7月15日から実施されたが、現場ではそれなりの混乱を招いた。

市場変動が大きかったためアドホックでモデルのパラメーター変更が行われるのは仕方ないのだが、やはり変更時には準備期間が必要である。その意味では年二回に変更して変更適用時期も2月、8月と決めておくのは、市場参加者の準備、当局への報告などを考えると望ましい変更と言えよう。

とは言え、証拠金の増額によるプロシクリカリティには根深い問題がある。例えば市場変動が大きくなり金利上昇したのだから、その分証拠金を増やすというのは当然なのだが、それによって保有する国債を売却して現金を捻出する市場参加者が増えると、さらに金利上昇が激しくなる。

このようなプロシクリカリティの問題の他に、増え続けるCCPの証拠金に耐えかねて、CCPから取引を移したいという参加者が出てくることが懸念される。また、相対取引であっても、有担保取引を無担保に変更したい、Thresholdを上げたい、CSAの条件を変えたいという要望が出てくる。

せっかく清算集中、証拠金規制によってカウンターパーティーリスクが減ったのに、証拠金の急増によって、脱CCP、脱担保取引の動きが見られてしまうという問題がある。これは非常に難しい問題であるが、適格担保の拡大やレポ取引の利用、銀行の信用状、保険など、個人的には様々な方法があると思っている。米国CFTCなどでは適格担保にこれまで禁じられていたレポを使ったMMFを加えるという提案がなされていたが、これもプロシクリカリティを抑える働きがある。

しかし、本来は激しい市場変動が起きないのが望ましい。それにはマーケットが一方向に動いたときに反対をとるディーラーやヘッジファンドなどの存在も重要である。規制によってこうした行動を抑えに行くと、流動性が枯渇し、市場変動が激しくなるということは、常に意識しながら規制の設計が行われることが望まれる。