SA-CCRが小規模金融機関に与えるインパクト

スペインの地銀の2021年上半期のCVA資本チャージが、SA-CCRへの移行に伴い€29mmから€1bn超へと、30倍に膨らんだとの記事が出ている。この程度の規模の地銀でこれだけの資本コストの上昇は尋常でないが、地銀でもCVAを無視できない時代に突入したということなのだろう。

こうなると、CVAをきちんと把握してそのヘッジを行おうというインセンティブが高まる。おそらく簡便法が最も簡単なのだが、少なくともBA-CVAを適用しようという銀行も増えてくるかもしれない。

日本の地銀においては、2023年3月期からバーゼルIII第3の柱に基づく開示全般について、新様式の利用を予定しているところが多いものと思われる。どうせ必要なら充分に研究して先進的なCVA計算手法を入れ、資本の効率化を向上させようとする銀行が出てきても良いのではないか。デリバティブを毛嫌いするだけでなく、うまく使えばリスク管理にもなるし、ROE向上にもつながる。

計算だけなら数人のチームを作ってとことん勉強させれば、何とか先進的な手法を導入するのは可能だと思う。あるいは複数地銀で集まって、CVA導入を目指しても良いのではないだろうか。日本では大手銀行でも資本効率が海外に比べて極端に低いので、中小金融機関でも高ROEを達成することができるのではないか。組織が硬直的でない分小規模金融機関の方が小回りが利いて、新しいことが進めやすいと思う。