LIBOR後の清算集中規制

CFTCコミッショナーのStump氏が海外CCPへのアクセスについてコメントを発信し続けている。LIBORがなくなったらCFTCのすべての清算集中規制は書き換えられるべき。だが、清算集中義務を課す一方で、規制対応のために、流動性を提供するCCPに米国参加者がアクセスするのを禁じるというのはおかしい。という趣旨の発言をしたとRisk.netで報じられている。

確かにBlackRockやVanguardといった米国のアセマネがJSCCにアクセスできないというのは昔からあった議論だが、これまではCFTCサイドが米国の顧客保護のためにこれを禁じていた。昨年法案が最終化したばかりなのですぐにこれが可能になるかどうかは不明だが、ここまで何度もコメントを出しているところを見ると、よっぽど大きな課題として認識しているのだろう。

確かに清算集中規制は今後修正されていくのだろうが、日本ではあまり議論が盛り上がっていない。12月にLCHなどのCCPは一括でLIBOR
から標準TONAスワップへの変換を行うが、その後はLIBOR Swapの清算集中はできない。現在の規制上はCCPが清算しないスワップは清算しなくても良いということなので、LIBORスワップを行ったとしても清算集中義務はなくなる。当然後継金利であるTONAに清算集中義務がかかることになると思われるのだが、その時期は明らかではない。

英国中銀からは12月6日以降JPY LIBOR Swapの清算集中義務がなくなる内容の市中協議文書が公開された。ただ、足下でTIBORへのシフトが進んでいるためか、その後規制がかかる後継レートは指定していない。TIBORになる可能性でも意識しているのだろうか。CFTCも同じようなルール改定を行うだろうが、現時点ではまだアナウンスはない。本来なら日本円スワップなのだから、日本がルールを決めてそれに海外が合わせるという順序が自然なのだが…

実取引データに基づかないベンチマーク、流動性に難のあるベンチマークを使うことに対する懸念が海外では強くなっている。これがAmeriborやBSBY、ターム物金利などに対する懸念にもつながっている。日本でも、OISの流動性が上がらないためターム物であるTORFを使うことに対して懸念をする声も聞かれるが、なぜかTIBORに対する批判はない。ベンチマーク規制上の要件をクリアしているというだけならBSBY等も同じで、BSBYはダメでTIBORは問題ないというのは不思議な気がする。

CFTCの話に戻ると、JSCCに参加をしたいという米国の市場参加者に対して、顧客保護のため参加できない仕組みを作るというのも理解しがたい。本人がリスクを承知で使いたいといっているのに、あなたのためを思って禁じているのですというのも不思議だ。確かに海外ETF等を投資家が買いたいと思っても日本で許可されているものでないと投資ができないようにしているのと同じなのかもしれない。こと金融に関してはこうした七不思議のようなものが多い。