米地銀ショック第二幕と日本への影響

米国NYCBの株価が最終赤字を受けて38%下落し、米国では地銀懸念が再燃している。その主因は商業用不動産向け融資であり、引当金を前年同期4倍に引き上げ処理を行っている。前回の危機は米金利の上昇による債券含み損によるものだったが、今回は商業用不動産の価格下落によるものだ。

大手行に対する規制をあれだけ強化した一方、中小金融機関に対する規制強化は緩やかなものにとどまっていたが、今後はさらなる粛清が予想される。

こうしてグローバルで中小金融機関に対する懸念が高まった矢先に日本のあおぞら銀行のニュースが出たものだから厄介だ。日本の状況は米国とは全く異なると思うのだが、海外のリスクマネージャーにとっては、日本もついに危ないかと思ってしまうのだろう。日本の金融機関全体へ影響が波及することを恐れている向きまであるようで、一部の保険株にも影響が出始めた。

とは言っても、あおぞら銀行の米国オフィス向けノンリコースローンの話は特に目新しいことではなく、常に話題に上がってきており、昨年末に格下げも行われたばかりだ。2023年の中間決算資料でも残高$1.87bnに対する引当率が4.7%であり、いずれ引当の積み増しが行われるのは明らかだったはずである。

確かにLTVが100%を超える案件の割合が今回の決算で急増したのには少し驚いたが、全貸出に占める割合が6.6%であり、引当率が18.8%に上がったことを考えると、海外が騒ぐようなデフォルトリスクがあるとは思えない。それでも株価が急落しているということは、リスクが認識されていなかったのだろうと言われるかもしれないが、まだまだ最近1年の上げを失ったに過ぎない。

むしろ米国不動産価格の下落が明らかになったころから空売りしていた投資家は多いのではないかと思う。そう考えると今回の売りは、状況が良くわからず米国の連想で空売りを仕掛けた、海外勢によるものなのだろうか。そうするとどこかで反発してくるのだろうか。