米国債市場の規制強化が進む

今週はSECから矢継ぎ早に規制改革案が出ているが、いずれもゲンスラー委員長らしい内容である。CFTC長官時代にデリバティブ取引に対して行ったことと同じことを米国債市場にも適用しようとしている感がある。

まずは、Proprietary Tradingを行う会社に対して、ブローカーディーラー登録を義務付け、大手行並みの規制をかける方針が示された。SECの5人の委員のうち共和党の2人を除く5対3での可決のようだ。この辺りの力関係を見ていると、トランプ大統領となれば規制緩和に舵を切るかもしれないことを示唆しているようにも見える。私募ファンドや投資アドバイザーに対して取引報告を義務付けることとしている。

とは言え、Citadelなどの新たなプレーヤーが米国債市場において急速に存在感を高める中、さすがにこのセクターを無視し続けることはできないというのも一理ある。

では、誰が登録義務を負うかというと、基本的に取引量によって対象が決まる。過去6か月のうちに$25bnを超える取引をしている場合に登録義務が発生する。現状だと43社が対象に含まれるようだ。業界では、これが生保や年金などのリアルマネーにまで対象が広がってしまうのではないかという懸念が広がっている。

確かにこの$25bnという閾値を超えないよう取引を控えるところが出てくると、米国債市場の流動性低下につながるかもしれない。

これとは別に、CFTCのリアルタイムレポーティングと同様、米国債取引に対しても取引報告を求める規制案が2/7に公表された。カレント銘柄のみではあるが、取引時間、価格、売り買いの別、出来高がすべて公表されることになる。デリバティブ取引のリアルタイムレポーティングと同じように、サイズの大きなブロック取引や、サイズをXXドル以上として公表するなどの免除措置はあるようだ。

当面はリアルタイムでの報告は行わず、End of Dayでの公表となるが、将来的にはこれをIntradayに変更し、Off the runの銘柄にも対象を広げたいとのことだ。

米国債市場については、決済期間短縮、清算集中、登録義務、報告義務と矢継ぎ早に規制強化が行われている。デリバティブ取引で起きたように日本国債についても変更が起きるのだろうか。