通貨スワップのRFR移行はどのように行われるのだろうか

昨日ドル建て社債のLIBOR移行対応の遅れについて書いたが、もう一つドルが関係するものに通貨スワップがある。日本円LIBORについてはUSD LIBORなどの他の通貨の動きを見てからと様子見が続いているが、通貨スワップはYen LegだけでなくドルLegもある。つまりUSD LIBORが移行するのであれば、片方のLegだけは移行をしなければならない。しかも通貨スワップはCCPでクリアされたものが事実上ないため、全てが相対の交渉となる。

移行時のスプレッドは過去5年間の中央値を使うことで合意形成はできているが、この5年間は通貨によって異なる可能性が高い。Libor Discontinuationのアナウンスメントが今年末までに出る可能性があるというFCA高官の発言もあったが、この5年間の計算は通貨スワップの場合かなり複雑になる。

ドルLegだけをまずは変更し、その後に円Legも変更するという二段階の価格変化が起きるということもあるのだろうか。それとも面倒だから遅い方に合わせて一気に変更するのだろうか。

この移行時期についてヒントを与えるものとしては、早ければ9月にも公表が見込まれているIBA(Ice Benchmark Administration)の市中協議の結果に注目が集まる。

今後ISDAのフォールバックプロトコルに批准した市場参加者と、批准していない参加者が存在する上に、通貨ごとにタイミングがずれるとなると、様々な組み合わせが存在することになり、かなり市場が混乱することが予想される。これまでは、EONIA-ESTRへのディスカウント変更、FFからSOFRへのディスカウント変更、USD IRSやGBP IRSの移行の話が中心だったが、そろそろ通貨スワップについても議論をしていく必要があるだろう。

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