G-SIBsとは

G-SIBsとはGlobal Systemically Important Banksの略で、「グローバルなシステム上重要な銀行」と訳される。ジーシブ、ジーシブズなどと発音される。世界経済の金融システム上の重要度が大きい銀行がG-SIBsとして認定され、追加の資本積み立てを求められる。なお、国内のシステム上重要な銀行はD-SIBs(Domestic Systemically Important Banks)と呼ばれる。

G-SIBsのリストは、FSB(金融安定理事会)が毎年公開するが、2020年版では、重要度の高いバケット5とバケット4に区分される銀行はゼロとなっている。このG-SIBsが実務上なぜ重要かというと、G-SIBsスコアが高くシステム上重要と見なされると、追加資本が要求されるからである。追加資本が必要になるということは、極力G-SIBsスコアを下げるインセンティブが働くため、スコアの上がりやすい取引に制限がかかり、市場流動性が逼迫する可能性があるということである。特にG-SIBsスコアの計算時点付近では銀行が取引を縮小するということが問題視されたこともあった。

2020年のG-SIBsスコアは以下の通りで、上位3社がスコア330点以上ということでバケット3に分類されている。追加の資本バッファは2.0%となる。バケット2は230点以上330点未満で、邦銀1行を含む8行が入っている。追加資本バッファは1.5%である。その下の230点未満はバケット1で追加資本バッファは1.0%である。230点、330点といった閾値を若干上回っている銀行には、スコアを下げてバケットを一つ下げようというインセンティブが働くためか、閾値をぎりぎり上回る銀行が少なくなる傾向がある。

https://www.financialresearch.gov/bank-systemic-risk-monitor/

G-SIBsスコアの変化を見るとここ数年の間に欧米行がスコアを下げている一方、日本と中国の銀行がスコアを上げている。これは、単純にこうした銀行のプレゼンスが大きくなっているという理由の他に、欧米銀行がスコアの削減努力を続けているのも大きいものと思われる。デリバティブ取引のコンプレッションにしても欧米の方が熱心である。JPM、HSBC、BNP、Barclays、Deutscheなどは軒並み1ランク下のバケットに下がっている。

https://www.financialresearch.gov/bank-systemic-risk-monitor/

2019年のデータではあるが、スコアの構成を見てみると、Sizeにおいて欧米行のスコア削減が目立つ。時系列に見ても、欧米行が横ばいを維持する中、日本と中国の銀行の規模スコアが急激に上昇している。

https://www.bis.org/bcbs/gsib/index.htm

もう一つ注意が必要なのは、このスコアは相対的なものということである。つまり自分がエクスポージャーを増やさなかったとしても、他行がリスク削減を進めれば、自らのスコアが相対的に上昇してしまうということである。欧米行がバランスシート削減を進めているために、日本や中国の銀行のスコアが上がってしまっているということもあるのかもしれない。

ただし、米国の場合はバーゼルのMethod 1に加えて、FEDのMethod 2による評価が加わる。そしてMethod 1と2の高い方のスコアが最終的に適用される。Method 1は相対指標であるのに対し、Method2は絶対指標である。つまり、すべての銀行が規模を増やせばMethod 1のスコアは一定であるのに対し、Method 2ではスコアが全員上昇してしまう。そして、このMethod 2のスコアは四半期末に計算されているが、追加資本の判定においては12月31日の値のみが使われるため、銀行が年末にバランスシートを縮小させるインセンティブにもつながっている。これを、これを一時点ではなく四半期の平均に変更するという検討も続けられている。

グローバルで重要な銀行などに認定されるのは、実は名誉なことでも何でもなく、リスクが高い銀行として資本の積み増しが求められることを考えると、このスコアを意識した経営も今後は重要になってくるだろう。