CDSのクレジットイベント決定委員会のルール改正

ISDAがCDSのDC(Determination Committee)の制度改革に向けて意見募集をしている。このDCはクレジット・デリバティブ決定委員会のことで、CDSのクレジットイベントは判定するための委員会だ。第三者としてLinklatersに独立した評価を依頼しており、最終結果はまもなく公表され、2024年後半に市中協議が行われる予定と報じられている。


以前は26社であったDCのメンバーは、最近徐々に減っており、12社程度となっている。基本銀行などのセルサイドが10社、ファンドやアセマネなどのバイサイドが5社となっているが、今回の見直しは、バイサイド側からの情報公開を求める声に応えたものなのだろう。主な変更点はDCのWebsiteに若干公開されている。DCの意思決定プロセスの透明性向上、公平性の確保は重要なポイントであり、ヘッジファンドやアセマネがDCに参加したいという気持ちもわかるが、実際に参加しても失望するだけではないかという気もする。

そもそも、DCで話されたことをベースに取引をすることは禁じられているし、自分のポジションに合うような決定をするよう働きかけをすることもできない。2016年の改正もあったので、銀行内では、トレーディングを行うフロント部門はDCで議論された情報にアクセスできるはずもなく、意思決定に圧力をかけることなどもってのほかである。

ただ働きであるにも関わらず、透明性を確保するためにある程度の調査分析が必要となり、時間もかなり取られる。銀行の場合はコストも負担しているはずなので、割に合わない役割といっても過言ではないように思う。参加したいというファンドに門戸を開くのは大賛成だが、おそらく2、3回参加したら辞退するところが多発するのではないだろうか。

特に日本では、なぜISDAが企業のデフォルトを決めるのかという意見が出されて混乱したことがあった。企業の命運を決定するわけではなく、CDS契約のクレジットイベントに該当するかの判定をするだけだったのだが、ここが誤解された。その時も出された意見であるが、日本においては、市場参加者が集まって議論するのではなく、当局主導のもとで判定を行うべきという考えている人が多いように思う。どうせ、透明性を保ちつつ、自己のポジションに捕らわれない、公平公正な判断をしなければならないのだから、監督する機関が指導を行っても良いような気がする。